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Column ダンスの窓
アジアコンテンポラリーダンスフェスティバル (以下、ACDF)が近付くと、東シナ海あたりを漂流してどうも地に足の着かない情けない自分の姿が脳裏によぎる。初めてのACDFに参加させてもらった時、私は自分の小ささを目の当たりにした。アジアの健脚たちは大陸から生えてきたかのごとく、見事な立ちっぷりで私を圧倒し、彼らのしなやかな身体からは世界に続く海の匂いとそれぞれの国土の香りがした。自分にはないものばかりを見せ付けられ、ひどく動揺したのだ。「あかん、勝たれへん」正直そう思った。「どうせ私は万博イヤーの大阪で生まれたテレビっ子やし。あんな深さは出えへんわ」しかし!これなのだ。私の匂いというやつは。軽さというやつは。そんなやつにしかでけへんダンスをとことん踊ればいいのだ。ひとり立つことが私の出発点であるのだが、自分が何処にどんなふうにいるのかということを教えてくれたのが、ACDFだった。それはまた、「なにわのコリオグラファー」を自称し始めたきっかけでもある。
北村 成美(きたむら・しげみ) / ダンス・アーティスト
ACDF2001に出演。現代を生きる女性として、たくましいダンスで観客を魅了する「なにわのコリオグラファー・しげやん」。9/27・28に単独公演「シゲニカルゲート」開催。 |
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