Column ダンスの窓


エメスズキ
写真:山口えみこ

 最近、とみに「スローライフ」や「スローフード」という言葉を聞く機会が多くなった。日々、たくさんの情報に囲まれ、仕事に追っかけられると、ふと江戸時代にタイムトリップしたくなる。娯楽が多くあった時代ではないし、「芸術」なんて意識のある時代ではなかった。それでも、市井の人々は芝居見物や、物見遊山等、生活の中に娯楽を上手に取り入れていた。
 「コンテンポラリーダンスin新世界」は、街とアートを合体させて、その両方を楽しんでもらおうという企画だ。新世界は歩くだけでも魅力的な街で、通天閣を中心に古い映画館や大衆演芸場、スマートボール場など一日中、遊べる所である。そこにコンテンポラリーダンスや現代彫刻などのアートが年一回、展開される。まさにワンダーランドである。
 「芸術」という概念が明治時代に輸入されて以来、江戸時代の生活の中にあった娯楽は低俗なものと見なされ、高等な「芸術」と大衆的な「芸能」という概念に二分化していった。今、その枠組みを超え、「芸術」を「アート」と言い換えて、生活に密着したものとして現代社会の中に活かしたい。
 「コンテンポラリーダンスin新世界」は、そのひとつの試みである。

大谷 燠 (NPO法人 DANCE BOX代表)
>> 大阪生まれ。1973年から80年まで、舞踏家・制作者として国内外で活動。96年「DANCE BOX」を立上げ、ジャンルを超えたコンテンポラリーダンスの公演・WSを年間約30本プロデュース。02年<Art Theater dB>設立。



3/7(日)
「コンテンポラリーダンスin新世界」
>> 通天閣・フェスティバルゲート・ジャンジャン横丁VSコンテンポラリーダンス・写真展・音楽etc…新世界の街の魅力をアートで再発見!アートと街が合体し、新世界がまさにワンダーランドになります!
参加:ダンスストリート 近畿大学演劇芸能専攻生(振付:碓井節子)&春塾WS受講生(振付:山田うん) / DANCE CIRCUS野外編 / ビデオダンス / アートマネキン(関本徹生) / アート曼荼羅占い+展示 / 新世界視線(写真展) / 新世界次元Live〜写真とダンスと声(上田假奈代)
11:00受付開始(Art Theater dB) 21:00終了予定
会場:新世界界隈