Column ダンスの窓



踊らない役者は嫌いだ。「踊ろうとしない」役者ほど醜悪な存在は、ない。

フリーでブラブラしていたある若い役者が、突然なんとかいう劇団に入った。で、様子はどうかと聞いたところ、彼は輝く瞳で(ほんとに輝いてた)「もう、凄いんですよ!」と言う。なにがそこまで彼を感激せしめたのかと問えば、その集団は稽古前に必ず全員集合の上、ひたすら「マラソン」をするのだと言う。

下品な話もあったもんだ。芝居の稽古前に、それぞれがたった一人、誰と触れあうこともなく、委ねることもせず、ただひたすらに踊り続けるのだと言うならまだしも。「踊る」という行為は、人が持つ本質的な「品性」を露わにさせる。逆に言えば「踊り」さえ見れば、その人の品は読める。だから、僕は初めての役者と芝居をする時、最初にその人の「芝居」なんか見ない。そんな半端な自己主張はいらない。「踊ることをする」やつかどうか、ただ一点、それだけだ。人間が人間を演じるのに、必要なものはなにより品格である。

「踊り」は、それを育ててくれる。
言葉や台詞なんかそこから先で、全然、いい。

菱田 信也
>> 劇作家・演出家。第1回近松門左衛門賞優秀賞。関西における実力派若手俳優を中心に過去の自作品を新装再演する企画GOCON(ゴーコン)を02年からスタート。その第4弾を4/9〜11にArt Theater dBにて上演(下記スケジュール欄を参照)。以降も7・9・12月に連続登場の予定。
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4/9〜11
GOCON vol.4
「ラストダンスはどなたに」
>>〜華麗な夜の社交場。まばゆく輝くミラーボール、ゴージャスな夢に酔う、男と女‥〜かつての不夜城・伝説の高級キャバレーも、今や廃業間近の蜘蛛の巣城!!店も人の心も荒み果て、毎夜酔っぱらいと不良ホステスの、罵り合いに殴り合い!!そんな店に現れた謎の女。”人生のラストダンス”を踊るパートナーを「この手」で見いだすがため、店中を巻き込んで上へ下への大騒動。しかしやがて、荒れ果てた場末のキャバレーにも不思議な”変化”が…。

作・演出:菱田信也
出演:朝宮真由 濱田佳菜 吉田一毅 他
9(金) 15:00 / 19:15
10(土) 14:00 / 18:00
11(日) 13:00 / 17:00
前売¥2800 当日¥3000
info:菱田信也事務所 078-221-7417
info@chikin-pro.com