高校生の時、「一番大切なのは誰?」と聞かれて「自分」と答え、友達に呆れられた事があった。どうも他の人は「友達」や「親」「好きな人」と答えたらしい。その時彼女に「でも親や友達を思っている自分が好きじゃないの?」と聞き返してお互いに黙ってしまった。
私のダンスを考えると、原点はそこにある気がする。自己愛というと、とてもナルシスト的だが、一瞬の自分とつながっていたい、という感覚でダンスをしている。感じるもの、感じたものが自分の身体を通って返って来た時、生きている、という充足感を得る、みたいな。しかしそうは言っても、人間社会で生きていくためには人や社会とつながらなきゃだめでしょ?とも・・・。そう、色々とやってみた20代。今は いわゆる勝ち組み(30代・子持ち・既婚)にいるらしいし、きっと濃い生活環境である。そんな中でも生来の自分とつながっていたい、という仲間と“身体生活派”ダンスを福岡で展開する事にした。
ダンスすることは刻々とうつる時間と空間の中で、確かな足跡をつけていく旅なのかもしれない。

 

宮原 一枝
Kazue Miyahara
>> 福岡生まれ、福岡市在住。10才から18才までバドミントンに熱中する。美術科の大学進学と同時にモダンダンス部に入る。人体塑像を制作したり、人体モデルを経験する中で身体そのものにも興味を持つ。現在ゼルプストメンバーと作品づくりを行っているが、今年からソロ作品づくりも始めている。