>> 第一部では、SAPの成立経緯と位置づけについての説明と、4NPOの活動紹介が行なわれました。
 
 
 
 

司会(remo甲斐):これまでの流れの中、(SAPの成果や抱えている問題というのは)日本規模で大きく共有できる問題なのではないかという意見がありました。だったら、開いてしまおう。できる限りオープンにしてみなさんに知っていただいて、この問題に関しての考え、情報を共有する機会をつくろうということで、今回4NPOの発案として、このシンポジウムを行うこととなりました。

 
cocoroom上田:私は、詩というのは言葉であると考えます。言葉であるというのは、生きる姿勢であり、態度であり、他者にどう向き合うか、社会にどう向き合っていくのかということを表明していくことにほかならないと思っています。ですから、このNPO法人では、言葉というものを通して、考えていく態度として、表現と社会を自分の問題として開いていく人が集まることで、この機能を果たせていると思っています。また、地域との関わりも深くなった今、途中で投げ出したくないのが正直なところです。
dB大谷:舞台芸術、ダンスでも演劇でもそうなんですけれども、芸術の享受のあり方が近年変わってきたなと思っています。いわゆる鑑賞型の芸術の享受のあり方だけではなくて、参加型の、ワークショップに代表されるように、芸術の享受のありようというのが非常に多様になってきています。これは、ダンスのもつクリエイティブな創造力、あるいはイマジネーションという意味の想像力、からだを使ったコミュニケーションの力などが、ワークショップのなかで活かされていると思います。
remo雨森:現在、ビエンナーレやトリエンナーレなどの大きな国際展でも、映像の作品が大半を占めるという状況になっております。また、欧米では70年代頃から、メディアセンターが設立されたり、フェスティバルが継続して開催されていたりと、日本に比べると質の高い作品が生まれる環境整備が出来ています。そういった状況を日本でも作っていく必要があるのではないかと、remoを立ち上げたわけです。(以下、remo甲斐による補足)今、映像には暗黙知という言葉で表現される、言語化しえない知識というものが入っているのではないかと言われています。ぼくたちが何年後かに、どう扱ってくかわからないんですけれども、これはただ受け取るだけじゃなくて、発信するかたち、もうツールは90年代以降コンピュータで質も高いし誰でもやれるわけです。そういうところで発信者というものを増やしていかないと、たぶんこの知というのはみんなと交換できないのではないかという問題意識で動いています。この動きというのは欧米で若干あります。始まったばかりです。
BI西川:即興演奏とか前衛音楽って難しい、眉をひそめる感じってあるじゃないですか。じっさい触れてみるとそういうのではなくて、個人のもつパワーみたいなものをどれだけ音に変換できるか、みたいなところがあって。欧米では即興演奏があれだけ認知されていて、だからビヨンドイノセンスに関わってるミュージシャンも、海外ではある程度認知されていたり、賞をとったりしているんですけど、日本に帰ってきたとたんに何もなくなるんですね。日本にもそういうのを根付かせたいし、それと同時に国際的にも…ね。こういう感じを目指しているわけです。