■ バイオテクノロジーやハイテク産業などに日本は力を入れるべきだ、とよく言われていますが、そのためには創造的な人材が必要です。私は、芸術の創造性と科学技術の創造性はお互いに刺激し合う、シナジー効果があると考えています。同じようなことを言っている研究者がアメリカにいて、リチャード・フxロリダという人です。(中略)そういう人々(=アーティスト)が集まる所にはハイテク産業で働いている人々も集まってくるということを、統計的に分析し説明したわけです。今、フロリダ氏の理論が世界でもてはやされていますが、彼は、こういうハイテク産業や芸術分野で創造的な仕事をする人たちを総称して、「創造階級」と呼んでいます。そして、創造階級が増えていく都市こそ21世紀型だと言うんですね。
■ ボローニャがミレニアムの2000年に取り組んだ「ボローニャ2000」という文化イベントがあります。若い世代の市民の積極的な参加を目指すとともに、文化消費だけではなくて、今日のシンポジウムのテーマでもある「文化の生産と創造的発展」を目標にしたものでした。つまり出来合いの文化を消費するだけではなくて、新しいものをつくっていくというところにポイントがあります。そうしてはじめて、大阪市が言っているような文化集客につながるわけで、(中略)大阪の中にある本来の資源を活かしながら現代アートや文化を生み出すことが重要で、そういうことに取り組んでいる都市の方が成功していると言いたいわけです。 |